甘栗はなぜ中国産なのか

甘栗はなぜ中国産??

甘栗屋さんをやっていると、よくお客様から
よくこんなお言葉をいただきます。

商売している方からするとまぁ当たり前なんですが、お客様からしたら、そりゃそう思いますよね。
簡単に言うと、
国産と中国産では適正に違いがあり、「甘栗」として適しているのが、中国産だから、
ということになります。

そこで今回は、なぜ中国産の栗が、甘栗として適しているのか、お答えします。

日本の栗と中国の栗。その違い

甘栗って、大きい釜に火をかけて、小石と一緒に40〜50分くらい撹拌しながら煎るんですが、この過程で何が起きているか、ざっくり言うと、

① 栗のでんぷんが加熱されて
② その時にでんぷんの分子に水分が入り込んで膨張し
③ 酵素の力を借りながら、でんぷんが糖質に分解される

ことで、甘みが出てくるんですね。

そのため、栗に含まれるでんぷんと水分の量とバランス、酵素の活性具合によって甘みが決まるんですが、国産栗と中国の栗では、これらの成分に違いから、味に違いが出てくるんです。

国産栗は、加熱すると、ホクホクした食感で、薫りは中国産のものよりやや強いです。
中国の栗は、柔らかい食感で、甘みが強いのが特徴になります。

どちらが良い、というものではなく、好みによるところも大きいのかなとは思いますが、
「甘い」という点にフォーカスした場合、中国産の方が適しているので、甘栗、と言うと中国産ということになりました。

ちなみに国産は専門ではありませんのでハッキリとは言えませんが、日本で栗、というと、栗ようかんや栗きんとん、栗ご飯なんかを想像します。
焼くだけ、という加工の仕方よりも、こういった加工の方が、日本の栗の良さを活かせていると感じています。

甘みでは中国産に軍配があがりますが、国産の栗はそれをお砂糖などで補いながら、形や薫りを活かした食べ方として、発展してきたのだろうなと思います。

逆に中国産の栗は、甘みは強いですが、羊かんにした場合など、柔らかさがアダとなって、果たして型崩れをおこさないで作れるのかは疑問です。
形の崩れた栗羊かん、あまり食欲が湧きませんよね。
むしろそのまま焼いただけの方が、中国産の栗の良さが活きるから、こういった棲み分けが出来てきたのだろうなと感じています。

甘栗を国産で開発?

甘栗は中国産、とは言いつつも、全部がそうという訳ではなくて、日本でも甘栗を作ろう、という試みはあるようです。

藤原食品株式会社様

会社は埼玉なのですが、岡山県で栽培した甘栗を販売しているようです。

おそらくですが、国産の甘栗、として販売しているのは、こちらの会社くらいなのではないでしょうか。

「国産 甘栗」で調べてみていただければと思いますが、国産のむき和栗、まではありますが、殻付きの甘栗で国産のものはほぼ出てきません。

それくらい、やはり「焼いただけ」の加工で甘みを出すのは難しいということなんだと思います。

天津は産地?

甘栗の上によく「天津」という言葉が付きます。

天津は北京の少し北にある港なのですが、ここから出荷される栗のことを、天津甘栗と呼んでいます。

そのため、天津甘栗、といっても、産地は天津ではありません。

産地は天津から北東の山奥、万里の長城があるあたりが産地になります。
河北省  唐山市 遵化市(ずんか)
河北省  唐山市 遷西県(せんざい)
河北省  承徳市 寛城満族自治県(かんじょう)
河北省 秦皇島市 青龍満族自治県(せいりゅう)

因みにこれらの産地を日本の緯度と照らし合わせると、だいたい青森〜函館くらいです。
とっても寒いんですね。

この4ヶ所が、いわゆる「天津甘栗」の産地になります。

ちなみにこの天津甘栗という言葉、中国ではあまり通用しません。
天津港から輸出される栗は、中国人は触れることが無いので当然と言えば当然ですが、中国版の和製英語のようなものです。

終わりに

以上、甘栗はなぜ中国産?、を解説しました。
今後、国産の甘栗が主流になる日がくるかもしれませんが、現状では
中国産=甘栗
国産 =羊羹・栗ご飯などの加工・調理したもの

という棲み分けが続くのかな、と思っています。

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