同じ甘栗でも、季節によって香りや甘み、食感が少しずつ変わることをご存じでしょうか。
秋に届いたばかりの「新栗」と、収穫後に時間をかけて熟成した「ヒネ栗」。見た目には大きな違いがなくても、食べてみると、それぞれに違った良さがあります。
どちらがおいしいかは、ひとつには決められません。新栗には新栗のおいしさがあり、熟成した栗には、また別のおいしさがあります。
新栗は、香りとホクホク感。熟成した栗は、深い甘みと柔らかさ。
「ヒネ栗」とは、どんな栗でしょう
私たちは、その年に収穫されたばかりの栗を「新栗」、前年に収穫され、保存・熟成された栗を「ヒネ栗」と呼んでいます。
「ヒネ」と聞くと、古くなった栗という印象を持つ方もいるかもしれません。でも、栗は時間がたつことで、ただ風味が落ちるわけではありません。熟成が進むにつれて甘みが増し、食感も少しずつ柔らかくなっていきます。
新しいことにも良さがあり、時間を重ねることにも良さがある。栗は、その変化を季節ごとに味わえる食べものです。
新栗は、香りとホクホク感を楽しむ栗
新栗の一番の魅力は、栗そのものの香りがしっかりと立つことです。
焼きたての殻を割った瞬間、ふわっと広がる栗の香り。焙煎による香ばしさとは少し違う、収穫されて間もない栗ならではの、やさしくまっすぐな香りです。
食感にはホクホクとした感じがあります。噛んだときに栗らしい手応えがあり、「いま栗を食べている」と素直に感じられる味わいです。
秋の始まりに新栗を焼くと、私たちも「今年もこの季節が来たな」と思います。まず香りを確かめ、食感を見て、その年の栗の表情を知る。毎年のことですが、やはり少し特別です。
熟成した栗は、甘みと柔らかさが増していきます
栗は、収穫されてから時間がたつにつれて、少しずつ熟成していきます。
私たちの感覚では、11月中旬頃から甘みがだんだんと乗り始めます。さらに12月から1月頃になると、甘みがしっかりと感じられるようになり、食感も柔らかくなっていきます。
よく熟成した栗は、どこかスイートポテトのような、なめらかさを感じることもあります。新栗のホクホク感とはまた違う、落ち着いた甘さと柔らかさです。
私自身、甘みが十分に乗った12月から1月頃の栗は、とてもおいしいと思っています。ただ、新栗の香りも、その時期にしか楽しめないものです。
ですから、どちらが上ということではありません。香りを楽しむ季節から、甘みを楽しむ季節へ。栗のおいしさの中心が、少しずつ移っていくと考えるとわかりやすいかもしれません。
お好みで選ぶなら
栗本来の香りや、ホクホクした栗らしい食感を楽しみたい方には、新栗がおすすめです。
しっかりとした甘みや、柔らかな食感を楽しみたい方には、熟成が進む冬の栗がおすすめです。
甘さだけで栗を選ぶのもひとつですし、香りや食感で選ぶのもおもしろいと思います。
同じ甘栗を毎年食べている方でも、時期を変えて食べ比べてみると、「こんなに違うのか」と感じることがあります。秋に一度、冬にもう一度。そうやって季節の変化を味わえるのも、甘栗の楽しみ方のひとつです。
栗と一緒に、季節も進んでいきます
9月、10月には、新栗らしい香りとホクホク感。11月には、少しずつ乗ってくる甘み。そして12月から1月にかけては、熟成した栗の濃い甘みと柔らかさ。
同じ栗でも、ずっと同じ味ではありません。
栗が少しずつ変わっていくように、私たちも、その時期の栗に合ったおいしさを見つけながら焼いています。
まずは新栗の香りを楽しみ、季節が進んだら、甘みを増した栗も味わってみてください。
時期を変えて食べてみると、ご自身の好きな甘栗の季節が見つかるかもしれません。


コメント