新栗の季節に、一番お伝えしたいことがあります。
それは、収穫されて間もない栗だからこそ感じられる、「香り」です。
新栗というと、採れたてであることや、ホクホクした食感を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、それも新栗の良さです。ただ、毎年栗を扱っている私たちが、新栗らしさを一番強く感じるのは、やはり香りなんです。
新栗のいちばんの魅力は、栗そのものの香りが、ふわっと立ち上がること。
香ばしさとは、少し違います
ここでいう香りは、焼いたことで生まれる「香ばしさ」とは少し違います。甘栗を焼けば、どの時期の栗からも香ばしい匂いが立ちます。店の近くを通ったときに感じる、あの甘栗らしい匂いです。
それとは別に、新栗には、栗そのものの香りがあります。
焼きたての栗を手に取り、殻を割った瞬間にふわっと広がる香り。口に入れる前から感じられる、やさしく、まっすぐな栗の香りです。強く主張する香りではありませんが、少し意識を向けてみると、「これが栗の香りなんだ」と感じてもらえると思います。
新栗は、食べる前から楽しめます
袋を開けたとき。まだ温かい栗を手に取ったとき。殻に指を入れ、実が見えたとき。
新栗を食べるときには、味よりも先に香りが届きます。そして、ホクホクした実を噛むと、今度は口の中に栗の香りが広がります。その香りと一緒に味わうことで、新栗のやさしい甘みも、よりはっきりと感じられます。
甘栗という名前なので、どうしても「どのくらい甘いのか」に目が向きます。もちろん、甘さは大切です。でも、栗のおいしさは甘さだけではありません。香りがあり、食感があり、そのあとに甘みが残る。その全部がそろって、栗らしいおいしさになるのだと思います。
今年の栗は、どんな香りだろう
新栗の季節が来ると、私たちもまず香りを確かめます。
今年の栗は、どんな香りなのか。殻を割ったときに、どのくらい香りが立つのか。口に入れたあと、その香りがどう広がるのか。
毎年同じように「新栗」と呼んでいますが、栗は農作物です。その年によって少しずつ表情が違います。だから、今年最初の新栗を食べるときは、私たちも少し楽しみなんです。
栗は収穫されてから時間がたつにつれて熟成し、甘みが増して、食感も柔らかくなっていきます。その時期には、その時期のおいしさがあります。一方で、新栗のはっきりとした香りは、収穫されて間もない今だからこそ出会えるものです。
殻を割った、その瞬間に
香りは目に見えません。写真にも写りませんし、言葉だけで伝えるのも、なかなか難しいものです。
だからこそ、一度食べていただくのが一番だと思っています。
袋を開けたら、すぐに口へ運ばず、ほんの少しだけ香りを感じてみてください。殻を割った瞬間にも、栗を口に入れたときにも、今の季節らしい香りがあるはずです。
新栗だから感じられる、栗そのものの香り。
この時期だけの味わいを、焼きたての甘栗で楽しんでいただけたらうれしいです。


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